GANonymizer:物体検出と敵対的生成を用いた映像匿名化手法

Abstract

都市の様子を記録した映像を分析することで,都市の状態を自動で把握,予測することが可能となる.しかし,都市の映像には人や車などのプライバシに関する物体が含まれているため,無加工の状態でネットワークに送信・共有したり,利用したりすることは難しい.結果,プライバシ情報が含まれる可能性のある映像は有効活用されないまま,消去されている場合も多い.本研究では,映像からプライバシに関する物体を自動で検出し,映像上から消去するGANonymizerを提案する.提案手法では,まず入力画像から深層学習を用いた物体検出技術を用いて,人や車などのプライバシに関する物体を検出する.そして敵対的学習によりトレーニングされたネットワークで,検出した物体部分の背景を生成し,元の画像に合成する.さらに,自然な背景生成が困難なケースに対応するため,2つのネットワークの接続点に新たなパディング処理を施す手法を提案する.本研究では,実際に記録された都市映像の匿名化実験を行い,複数の指標で映像の自然さを定量的に評価するとともに,匿名化された箇所をマーキングしてもらうユーザ評価実験を行うことで,提案手法の有効性を評価した.

Publication
情報処理学会論文誌60巻10号p1829-1844